比類なき・・・KAGERO
このコックピットに跨るときいつも新鮮な気分になる。
幸運なことに素人ながら多くの自転車に乗る機会を持ったつもりだが、KAGEROほどに心高ぶる自転車は今までになかった。
眺めてもちろん、100m走るだけで目がハートになる。
600mmのシートチューブから前へ向かって程よく下がる潰し加工の入ったトップチューブ、全盛期(’90前後)のKLEINを彷彿とさせる溶接部の仕上げ等々。
それでいてプレーンな印象のフレームワーク・・・あくまでも主観的な感想だが、もしもブレーキを取っ払ったらそのプレーンさは、金属フレームの自転車として、レーシングエリエをしのぎ、これより美しいのは競輪用ピストだけだと思うほどだ。
同ブランドから新作が出た今もその感想は変わらない。
ストリートピストは元々はメッセンジャー達の実用車だったようだが、その後、ファッションやむしろスケートボードなどに近いエクストリームスポーツの要素を持った文化として受け入れられてきている。
そこには、性能第一の現在のカーボンロードと同じく、自転車という道具にすら僕らの世代が求めてきた侘び寂びという日本固有の価値観が入る余地はない。
一般的な用途として伝統的な自転車の車種になかった新しいジャンルだし、これからずっと先、残り続けるのかどうかも分からない。
しかし、そういう文化が作り上げた作品にも感動することをためらわずにいたい。
自分が自転車が好きだからどのような車種であれ、あるいは最終的に失敗作だとしても、企画者、作り手の「自転車が好きだ!」という思いは乗れば伝わってくる。
と、言ったようなわけでKAGROは僕の中で比類なき名車のひとつだ。
応援よろしくです!
by tavasuke | 2013-11-12 23:11 | Single