久々に長い文章のエントリー
昔のフランスの自転車というのは、ネジのピッチからハンドルバー径やステム径(フォークコラム内径)などなど・・・多くの部位が他国と違う規格でできている。
今回レストアしたエリエは、フランス製だがイギリスへの輸出仕様という変わったロットであった。
そのせいで組み上げる途中でいくつか問題が出た。
この年式のエリエであれば、本来はSimplexというブランドの変速機が付くはずなのだが、ディレイラーハンガーがHuret仕様だったのは、いかにもイギリス仕様らしい変更点だ。
当時、イギリスやアメリカの自転車は、SimplexよりもHuretを好んで使ったようだ。
さらに大きな問題がホイールだ。
当時のフランス自転車は、他国の自転車とフリーの左右位置が若干異なる。
リアフリーを歯1枚分ほどセンターに寄せて取り付けるようにできている。
スポークのおちょこ量が左右で大きく違う、ホイール剛性を考えると非合理的なホイールだ。
僕が用意したのは、このフランス規格のホイールたったが、このエリエに装着すると最ローのギアに入らない。
つまり、このエリエには、フランス規格のホイールでなく、現在も使われているイギリス規格(ほぼ、日本の規格と同じ)のホイールを装着しなければならないことが判明したというわけだ。
最ローのギアが使えない。
これが僕が、このエリエで遠乗りできないでいる大きな理由になっている。
そこで今日師匠に相談に行った。
結果的にハブシャフトの位置を変えた上でスポークを再調整し、ハブの位置をフリー側にずらすことにした。
ただし、今日は出来ないのでもうしばらくは今のまま8速で乗ることにする。
旧車を弄るとこういう問題はいくらでも出てくる。
ブロンプトンに乗る前にラーレーのロードスターを3台所有していたが、このラーレーも曲者だった。
多くのパーツがイギリス規格と異なるのだ。
イギリス車のくせに、である。(笑)
当時、イギリス中の自転車メーカーを吸収し、世界最大のメーカーとなったラーレーが、ほとんどがイギリス規格を採用していた他国メーカーをも駆逐しようとしたのか?との印象を持ったものだ。
長らくフレーム素材の王様だったクロモリの自転車でもイタリアンロードレーサーのBB幅は、イギリスや日本などと2mmだけ違っていたり・・・。
多くの生産国が、自国の規格をスタンダードにしようとかつてのベータ対VHS、現代のアップル対グーグル(アンドロイド)のような戦いを繰り広げていたのだ。
(結果的にフランス規格は、イタリアンロードレーサーとカンパニョロの台頭によってとうに駆逐された。)
その後、90年前後から、パーツのスタンダードにおいてシマノがリードしてきたが、昨今、シマノのパーツが付かない規格も登場してきているのはご存知だと思う。
余談だが、ヘッドパーツ径を最初に変えてきたのはMTB考案者の「ゲーリーフィッシャー」(1-1/4インチ)だった。
オフロードでの強度を考えてのことだろう。
これに「TIOGA」が対抗し勝利を収めた。
1インチだったヘッドパーツが1-1/8インチになったのはこのときからだ。(1990年頃)
現在のロードでは上椀にTIOGA径、下椀にフィッシャー径を使っていることになる。
カーボン素材に強度&剛性を求めBB径やハンドルバー径も含め様々な規格の変更&進化?で自転車パーツは、より多様に煩雑になっている。
昔は、コンポーネントでなく、好みの異なるブランドのパーツで混成することもできた。
スポーツ自転車製造という小さな世界でも主導権争いは今後も続いていくのだろう。
スタンダード争いもいいが、自転車好きとして願わくば、コストや生産の効率に拠るだけでない真に良いものもラインアップに残して欲しい。
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by tavasuke | 2012-01-30 20:43 | Other